(2)NDSBによるアミロイド凝集阻害機構の解明

文責 萩原

【キーワード】アミロイド, NDSB, CD(円偏向二色性), 蛍光強度測定, 電子顕微鏡

 ポリペプチドは天然構造をとると,生命を支え得る生体物質となるが,それとは異なる異常構造へミスフォールディングを起こすこと細胞に障害を与えることがある。特に,β-sheet構造からなる線維状の凝集体をとった蛋白質を,アミロイド線維と呼ぶ。アミロイド線維を原因とする病気は多く報告されており,例としてアルツハイマー病やプリオン病がある。
 本研究では,アルツハイマー病に関わるアミロイド蛋白質,Amyloid β(Aβ)を用いている。

【1】 アミロイド線維(amyloid fibril)

 NDSBは,スルホベタイン基と短い疎水基を持っている両親媒性物質であり,疎水基の構造には数種があり,分子量を付けた名前で区別されている。例として,図1に示す。
 NDSBには,ミセルを形成しない,蛋白質の疎水性領域と相互作用することで凝集を抑制する作用をもつなどの特徴をもっている。

【2】 NDSB (Non Detergent SulphoBetaine; 非界面活性剤型スルホベタイン)

NDSB-195

NDSB-221

図1.NDSBの構造式

(2)蛍光強度測定
 
Thioflavin Tは,アミロイド線維のβシートに特異的に結合し,励起波長450 nmの光をあてると,強い 蛍光を放つ。これによりアミロイド線維の定量測定を可能になる。 

【3】 抑制効果を探るために用いる主な測定

(1)CD (円偏光二色性) 解析
 
ポリペプチドをサンプルとしてCDスペクトル解析を行うことにより,二次構造の情報を得ることができる
(3)TEM (透過型電子顕微鏡) による観察
 TEMとは,観察対象に電子線をあて,それを透過してきた電子が作り出す像を観察するものである。本研究ではネガティブ染色を行って,アミロイド線維の形状を観察している。結果が図2である。

図2. TEMによるアミリンのアミロイド線維の観察